○木曽の御嶽
御嶽教発生の霊地であり、宗徒各々が修行の根本道場とする神山(かむやま)が「霊峰木曽の御嶽山」である。
岐阜県と長野県の境である、北アルプス連峰南端に位置し、標高3,063.4mである。独立峰としてそびえるその容姿は、かつて別の名を「王の御嶽(おうのみたけ)」と呼ばれる由縁を残して居る。山名は「御嶽」と書いて「おんたけ」と読むのが正式名称とされるが、古書・伝承によると、昔は山麓周辺の住民各々から「おのたけ」又は前記の如、「王の御嶽」と尊称されていたが、誰となくいつともなく「おんたけ」と呼ばれるに至って居る。特に近世に入り、御嶽信仰が全国的に広義された事にともない、これが通称となったのである。したがって「御嶽」に「山」の字を付して「おんたけさん」と呼ぶのは、御山への親しみを込めた愛称とみるのが自然の姿に感じられる。
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